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2011/09/27

意志のチカラ

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先の9月25日(日)に川越運動公園陸上競技場へ、関東リーグ1部最終節、さいたまSCvsY.S.C.C.のゲームを見に行ってきました。

以下、そのレポートです。

 
もともとワタシはこの日水戸に行くつもりでした。

ただ、最近なんとなく宇都宮徹壱さんの『股旅フットボール』を読み返していて、あらためて、機会があったら一度地域リーグの試合を見てみたいという思いを新たにしていました。

そしてこれもなんとなく関東リーグの公式HPを見たら、なんとこの日がリーグの最終節で、しかも1部の(関東リーグは2部制)さいたまSC(2位)とY.S.C.C(首位)のゲームがあることを見つけたのです。

実はもう前節まででY.S.C.Cの1部優勝が決まっており、さいたまSCの2位も確定と、消化試合である感は免れないようです。HPでそれぞれの選手名鑑を見ても知っている名前がひとつもありませんでした。しかし、ワタシの中ではそれら以上に未知のリーグやサッカーに対する興味が上回っていました。

一応地域リーグは、日本サッカーのトップリーグたるJ1と陸続きで繋がっていると言えます。例えば、草野球のチームはどんなに頑張ったって絶対にプロ野球(ここではNPBを指す)のリーグには参加できませんが、地域リーグに属するチームは理論上(たとえそのハードルが非現実的なほど高いとは言え)J1まで昇りつめることができるのです。そんな中で、アマチュアが大半である選手たちがどのようなモチベーションでリーグを戦っているのか、どのような雰囲気の中で試合が行われているのか、そしてどんな人が見に来ているのか、そうしたもろもろが見てみたかったのでした。

そんな訳で、ワタシは川越に向けてマッハロッド号を走らせたのでした。
 

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さいたまSCといえば、モリツァこと盛田剛平が2000年天皇杯1回戦で公式戦初のゴールを決めた相手として印象に残っています。当時はまだ漢字の『埼玉SC』だったのですが、2008年にさいたま市をホームタウンとしてひらがなに改称したのだそうです。設立は案外古く『埼玉教員サッカークラブ』として創設されたのが1953年ということですから、ヘタなJクラブよりも(そしてワタシよりも)歴史が長く、そのエンブレムには"since 1953"の文字が誇らしげに輝いています。

片やY.S.C.C.は、知らなければどういうチームなのか名前からは判断がつかないと思いますが、NPO法人横浜スポーツ&カルチャークラブ、略してY.S.C.C.が運営するクラブだと言えばだいたいイメージできるでしょうか。NPOの認証が2002年ということですから比較的若いチームですが、かつて日本代表DFの上村健一も所属したことがあり、2005年から参入している関東リーグ1部で去年まで優勝3回、今年の優勝で3連覇という、このカテゴリーでは相当な強豪と言うべき存在です。

つまりこのゲームは、さいたま第3のチームと横浜第3のチームの対戦ということになるのでした。(以下、さいたまSCをさいたま、Y.S.C.C.をYSCCと表記)
 

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確かこの川越運動公園の陸上競技場は、昔レッズ絡みで来た記憶があります。サテだったかテストマッチだったかはたまた別のイベントだったかまったく記憶にないのはたぶん年齢のせいですw

キックオフ1時間前にスタンドに入ると(入場無料)、思ったより人がたくさんいました。高校のサッカー部員と思われる若者たち。家族連れや若い女性のグループは選手の関係者なのでしょう。そしてサポーターらしき人もちゃんといます。さいたまは3~4人ほど、YSCCはもう少し多いようです。顔見知りの人が多いと見えて、お互いに談笑しつつキックオフを待っています。ひとり門外漢のワタシ。でもこれもマイナー好きの定めw
 

さいたまえすしー ぱんぱんぱぱぱん

当日のエントリで太鼓がいると書きましたが、いざサポの方々のコールが始まると太鼓は使わず手拍子のみでした。たぶんこの競技場が鳴り物禁止なのでしょう。なにしろサイドスタンド裏が霊園なのですから。
 

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キックオフ後の数分でYSCCの方が地力で勝っているのがなんとなくわかりました。さいたまは中盤でのパスミスが多く、なかなか前までボールが運べません。パスカットされた球をDFライン裏に出され、反応良く飛び出したYSCCのFWがゴール前まで迫るシーンが2度3度。

しかし、先制したのはさいたまの方でした。

左サイドを起点にYSCCゴール前での混戦からのこぼれ球を捕らえた見事なミドルシュートが決まりました。

ただ、それでほっとしたのかそれともYSCCの闘志に火をつけたのか、そのわずか2分後に同点に追いつかれてしまいます。前半終了間際にも逆転ゴールを決められ1-2で前半終了。そして後半は一方的な展開に。

後半20分までに3つのゴールを決められ、後半35分に1点返すものの、その後さらに2ゴールを許し、終わってみればスコアは2-7。完膚なきまでにやられたというのはこういうことを言うのでしょう。

熊谷では3試合で1つもゴールを見れなかったのに、ここでなんと9つものゴールを見れるとは思いませんでした。
 

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試合終了後、選手たちは先に相手方のスタンドに挨拶に来ました。それに対しYSCCコールを贈ったさいたまのサポの方々から声が上がりました。

「おまえらもう帰ってくるんじゃねーぞー!」

そうYSCCは関東リーグの覇者として、JFL昇格を賭け地域リーグ決勝大会に出場するのです。『帰ってくるな』とは、JFLに上がって関東リーグには戻ってくるなというエールなのでした。
 

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そして、くたくたの体で挨拶に来るさいたまの選手たち。しかしそこには悲壮感はありません。

それを迎えるサポの皆様たちの間には『しょーがねーなー』的ながっかり感こそ漂っていましたが、誰一人として声高に文句を言っている人はいませんでした。

そう選手たちは全員アマチュア。そこには『プロなんだから勝たなければ意味は無い』などというロジックは存在しないのです。もちろん選手たちが全員勝とうと思ってプレイしているのは絶対間違いないのですが、それによって得られた結果はあくまで彼ら自身の問題であって、そこに他の人間が口を挟む余地はありません。例えば、もしその結果が良くないものだったとしても、それは他人から非難されたりとやかく言われたりする筋合いのものではないのです。
 

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かと言って、だから気高いなどというつもりはまったくありません。

ただ、一応サポーターと呼ばれる人種の端くれに属していた身としては、いったいサポートってなんだろうな、いったい誰のために何のために行っているのだろうな、などと少し哲学的な感情を抱いてしまったのでした。
 

ところで、このゲームで生まれた9ゴールのうちのほとんどは相手のミスを起点にしていました。ちょっと中盤で混戦になればスペースがあちこちにできるし、そのスペースに出そうとしたパスはタッチラインを越えるし、はっきり言って素人目にも決してレベルが高いとは言えません。

しかし、以前何かのネタの中に『レベルが高いとは言えないサッカーを見るのは大好き』というフレーズを使ったことがあるのですが、その気持ちはこのゲームを見てもまったく変わりませんでした。それがどうしてかはよくわかりません。わかりませんがなんとなく感じるのは、皆が自分のできるプレイを必死でやろうとしているからではないかということ。そこに『意志のチカラ』が見えるからではないかと思うのです。
 

やっぱりサッカーは面白い。
 

たとえそれがどういうレベルのものであっても。

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コメント

「埼玉SC」時代はサポーターが埼玉県歌を歌っていて、そのようつべをこちらにうpした記憶があります。

プロアマ問わず、技量の質を問わず、サッカーに真摯に向き合っている選手や観客と同じ時間を共有できるのは素晴らしいですね。

我田引水ですが、W杯から時間が経ってもなでしこリーグの各試合には結構な数の観客が入っています。W杯の優勝がきっかけだったとしても、やはり上に書いたような魅力に多くの人が気付いたからでは、と思っています。

投稿: sat | 2011/09/28 08:01

はい。憶えています。なのでサポの方々が歌っているのを聞いてすぐわかりました。そういや記事には書き忘れましたねw

なでしこの盛況は大変嬉しいです。もちろんワールドカップ後の特需であることは否めないとは思いますが、それが収束したときに残る方が結構いるでしょうから充分に意義はありますよね。

そういう意味でも、レッズレディースは戦力を収束してる場合ではないと思うんですが、クラブはそこらへんの未来像をどう描いているんでしょうね。

投稿: にゃんた2号 | 2011/09/28 08:37

かなり遅コメですがw

確か、YSCCは地域リーグ決勝大会で2大会連続最終ラウンドで敗退しているんですよね。
来年のJFLは残念ながらジェフリザーブズが活動休止ということで、昇格枠がひとつ増えるようなので今年こそ頑張って欲しいものです。

さいたまFCは2位というのを聞いて驚きました。やっぱり11年前の天皇杯のイメージがあるので・・・(汗

YSCCが昇格しても、来年は相模原という強敵が関東リーグ1部に昇格するのでさいたまも頑張って相模原と覇権を争って欲しいです。

ちなみに、実は私1回相模原の試合を見に行ったことがあるんですが、2部の中位チーム相手に2失点と苦戦してました。元Jの選手主体(古賀誠史もいる!)ですが、まだ発展途上という感じでしょうか。
一方で、サポーターはアウェイゲームなのに50人ほど訪れていて、サポーターが作った広報ビラを配ってました。結構頑張ってるなぁという感じです。

投稿: 赤いスイートポテト | 2011/10/03 01:41

そうなんです。Y.S.C.C.は決勝大会で何度も敗退してるからこそのさいたまサポからのエールだったようなんですよ。

確かに相模原は元Jリーガーが多いのでチームとして噛み合えさえすれば地域リーグでは無敵だろうなとは思っていますが、今のところ決してそんなに簡単じゃないみたいなのがサッカーの面白さでもあるんでしょうね。

投稿: にゃんた2号 | 2011/10/03 08:37

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