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2011/07/09

サッカーのある幸せ

7月3日(日)高崎市浜川競技場へ、ソニー仙台の震災後公式戦復帰試合となる、JFL後期第1節アルテ高崎vsソニー仙台FCの試合を見に行ってきました。
 

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以下そのレポートです。

 
震災後初めて会った盟友の言葉。

「ソニー仙台も頑張ってますんで応援してあげてください。」

聞けば、会社があるのが津波の被害が甚だしかった多賀城で、未だに工場は完全復旧していないとのこと。たまたま読んだ宇都宮さんのコラムからも、彼らがかなりの窮状に陥っていることは知っていました。
 

自分にできることは何があるのだろう。

震災直後に感じた思いが再び頭をもたげてきたその頃、ちょうど彼らのJFL復帰初戦が高崎で行われることを知りました。

何もできないけれど、せめて彼らに声援と拍手を贈りたい。ワタシがいくら声援や拍手をしたところで、何も彼らの状況は変わらないかもしれないけれど、所詮ワタシの自己満足でしかないのかもしれないけれど、別に迷惑をかけるわけじゃないからとにかく行ってみよう。

そう思い前の週も来た道を再び走って、浜川競技場へ向かったのでした。
 

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浜川運動公園に着き駐車場にクルマを停めたあとぐずぐずしていたら、競技場の方から拍手が聞こえてきました。

慌てて走ってそこへ行ったら、正面に横付けになったバスから水色のユニを着た人がちょうど降りてきていて、彼らに向かって周りの人たちが拍手をしています。

傍らには『ソニ仙ガンバレ』のダンマク。
 

「相手のサポーターの到着が待ち遠しかったのは初めてですよ。」
 

アルテ側のサポーターの人の言葉。

もうそれだけで、ワタシは本当にここへ来て良かったと思いました。
 

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先週と同じ1時間前の開場を待ってアウェイ側の席に向かいます。さすがに太鼓を中心とした声出しのエリアに入るのは気が引けるので、そことは少し離れたところに座りました。傍らから見たソニ仙のサポの方々は、さほどたくさんの人数ではないもののみんな明るくまったく悲壮感など感じられません。
 

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周りを見れば、ぽつりぽつりとソニ仙以外のチームのサポーターらしき姿が認められます。

町田ゼルビアの帽子を被った方、家族全員で同じくゼルビアのユニフォームを来た親子連れ、草津のアクセサリーらしき物が垣間見える方、そしてキックオフ近くになってオレンジ色の揃いの『頑張ろう日本』シャツを来たみかか、いや大宮サポの集団がやって来ました。後でネットで検索したら、栃木のサポの方もいらしていたようです。

自分は異邦人かと思いきや、たぶんワタシと似たような思いで(想像)ここまでやってきた方がこんなにいるとは。嬉しい、と言うのはあまり適当ではないけれど、なんとなく頼もしいような妙な気分になりました。
 

キックオフを待っていると、ソニ仙の水色のユニを着た女性がスタンドをまわり始めました。

「ソニー仙台応援の方はどうぞ~」

その、BS日本こころの歌に出演しているソプラノ歌手似(わかりにくい比喩)のなかなかきれいなおねえさんが、ひとりひとりに手渡していたのはソニー仙台の2011年卓上カレンダーとチームのリーフレットでした。
 

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ワタシのような明らかなピンの余所者にも声をかけてくれたので有り難く頂きましたが、見るとカレンダーには震災前のゲームスケジュールが記載されていました。
 

ソニ仙復帰戦の簡単なセレモニーと、Jの再開後初戦と同様に犠牲者追悼のための黙祷ののちキックオフ。

驚くことに、先ほどのおねえさんはコアサポの一番前に立ち、声出しをしていました。てっきりソニーの総務の人か何かが仕事で来ているのかと思っていたのに。
 

かなりかっこいい。

 

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試合は、前半はほぼアルテ高崎が攻めこむだけの展開。ソニ仙もこぼれを拾い何とか前線へつなごうとするのですが、パスの精度が悪かったり、つながってもFWが孤立して簡単に奪われたりと、素人のワタシが見ても明らかに調整不足を感じる出来です。

その頂点とも言うべきは、前半17分高崎の選手が放ったなんでもないシュートをソニ仙のGKがトンネルし高崎が先制したシーンでしょうか。ファンブルではなくトンネルですからねぇ。
 

ハーフタイムにも、高崎からソニ仙への千羽鶴(ワタシが協力できなかったヤツ)の贈呈を始めとするセレモニーが行われました。『我々と、そしてアウェイ各チームの皆さんが折ってくれた千羽鶴』という高崎の場内アナウンスに拍手。両チームのサポーター代表の挨拶に拍手。その後の両チームのコール交換にも拍手。拍手するしか能がないけどひたすら拍手。
 

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後半頭からソニ仙に選手交代。交代で入った19番の選手は、長髪を後ろで束ねた髪型が現甲府の片桐みたいでピッチ練習の時からなんとなく気になっていました。

そしたら後半10分すぎに、その選手が見事なミドルシュートを決めソニ仙が同点に追いついたのです。

麻生耕平、筑波大卒MF、覚えておこう。
 

それ以降展開はほぼ互角になりました。ソニ仙は明らかに前半より後半の方が動けています。かなり暑い中(JFL公式には36℃とあった)調整不足と劣勢だった前半の疲労があるはずなのに、ゴール1つでこうも変わってしまうのだからサッカーは不思議なもんです。

終了間際にもソニ仙の決定機があったのですが、さすがにすべてがドラマチックというわけにはいかず同点のまま試合終了。いい試合をした高崎には少し残念な結果だったことでしょう。
 

試合終了後それぞれの選手たちは相手サポ側にも行って深々と頭を下げました。両チームのコール交換のあと、ソニ仙からは大宮アルディージャコールも起こりました。またまた拍手。手が痛くなっても拍手。
 

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そして、最初から最後までひたすら明るく元気にチームを鼓舞したソニ仙のサポの方々に、心の中で大声援を送りながらその場を後にしたのでした。
 

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陳腐な感動物語だと捉える方もいるかもしれません。まあ少なくとも、ワタシみたいな立場で行った者に対してはその指摘が的外れではないと思っています。

それに、当事者としてのソニ仙の方々だって、別にワタシのような者が見に来ようが来まいが何の関係もないでしょう。もしかしたら、彼らの明るい振る舞いの陰には厳しい日常が潜んでいるのかもしれませんし。
 

しかしあの場にいた453人にとってあの時間は、サッカーが好きで本当に良かったなぁという思いが多くの人と共有できた最高に幸せな瞬間だったと思うのです。
 

サッカー見て幸せになれればそれでいいじゃないか。
 

よくわかんないけど、別に理屈じゃないですよね・・・。

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コメント

読んでいるだけでその場の幸せなふいんき(←何故かry
が感じられました。素敵なレポありがとうございます。

サカーのある日常を楽しもうと思います。例えそれが
クソサカーだとしても(以下略

投稿: もかみ | 2011/07/10 03:03

いいレポですね。乙です。以前に横浜フリューゲルスのドキュメンタリーを見て、クラブがある幸せを考えさせられました。応援するチームを持てる幸運、とでも言えばいいのでしょうか。この幸運を大事にしたい。その番組をそう思いなから見ていました。....でも、だからこそ、その大事なものが、部外者に壊されていく今の姿がつらいです。
部外者ってのは、橋本社長、柱谷GM、そこのモグラな方々、あなた達のことです。セイタロもね。
長文失礼しましたm(_ _)m

投稿: げったん | 2011/07/10 08:57

>もかみさん
クソサカーを憂うのもサカーのある幸せのひとつではあると思います。不幸せな幸せとはなんとも複雑な話ではありますがw

>げったんさん
そうは言っても、不幸せはないに越したことはないですよね。おっしゃる通り、今回の不幸せは我らサカーファミリーの外の人たちが招いた災禍っぽいというところが問題だとワタシも思います。
ぶっちゃけペトロだけの問題ならここまでの閉塞感は感じないと思います。
(´・ω・`)

投稿: にゃんた2号 | 2011/07/10 12:20

レポありがとうございます!

以前の宇都宮さんのコラムに有りましたが、震災以前よりチームの存続問題は常に話題の一つでした。
ソニ仙の選手は、何か危機が有る度に『本当にサッカーをしていて良いのか?』という思いと『こんな時でもサッカーができる幸せ』を感じていると。

今回も、きっとサッカーができる幸せを感じつつプレーしていた事でしょう。

投稿: ROM | 2011/07/10 20:36

いつも楽しく拝見してます。
浦和がこんな状態だからというわけではないんですが、
確かに浦和以外の試合を見る機会は増えましたね。

今までなら浦和をサポートするということはほかのチームにおけるそれよりも特別な意味があると自分は思ってました。でも昨今のゴタゴタでそのような意味はだんだん薄れているという気がします。
これはたとえば、「浦和以外のチームを応援をするなんて考えられない」と思っていた栃木県の浦和サポが栃木SCのJ1昇格を巡る闘いに興味を持ってもおかしくないということです。

J2の試合を見に行っても感じることですが、「サッカーがある幸せ」ってのは一つだけではなく、実は日本中のクラブチームの数だけあるんだな-と思う今日この頃です。

投稿: heppoko | 2011/07/10 21:01

>盟友さん
企業内クラブの宿命なんでしょうね>存続問題
しかしここ最近の趨勢から考えた場合、ソニー仙台はよくずっと続けてくれたなというのが素直な感想です。プロクラブなのに企業のクラブ活動と取り違えている人に囲まれているクラブより幸せなのかもしれません。

>heppokoさん
同感です。ワタシが他チームのゲームを見に行き始めたのは2006年からなのですが、それ以降レッズを含むサッカーに対するスタンスが変わってきました。あまりうまく表現できないのですが無理やり言うと、サッカーを取り巻くすべてのことがさらに好きになったとでも言うんでしょうか。
そういう観点からも、、「サッカーがある幸せ」ってのは日本中のクラブチームの数だけあるというのには心から共感いたします。

投稿: にゃんた2号 | 2011/07/10 22:00

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