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2011/03/04

降臨 2011開幕

「調子はどうじゃ。」
 

聞き覚えのある声に振り返ると、そこにはやはりもうすっかり見慣れた姿の老人がいた。

 
「なんだあなたですか。サッカーの神様。」
 

「なんだとはまたずいぶん愛想のないことじゃな。」
 

「あ、すいません、いまいち元気が出ないもんでつい。それはともかく、花粉症のほうはどうですか。」
 

「うむ、まだいまのところは大丈夫じゃ。」
 

「それは良かった。じゃあ体調のほうは万全ですね。」
 

「いやいやそれがそうでもないんじゃ。身体は問題ないんじゃがちょっと気が滅入っておる。去年わしの資産運用を任せとった者がウソをついていたことが判明してのう。出た利益の額がそやつが言っておった額より少なかったんじゃ。それで少し人間不信に陥っておる。」
 

「それはひどいですね。」
 

「孫にファミコンを買ってやろうと思っていたがそれもフイじゃ。」
 

「ファミコンって、神様がいる世界は昭和ですか。」
 

「わしの居る世界に時代なぞはない。普遍にして不変の世界じゃ。そういうことで、おぬしも気を付けよ。人の言っていることを全面的に信用してはならぬぞ。」
 

「はい気をつけます。」
 

「ところで、さっきあまり元気が出ないとか言っておったが。」
 

「はあそうなんですよ。なんだかチームも調子が上がんなくて。この2年ずっとこんな感じだし、やんなっちゃいますよ。」
 

「ふむ。相変わらずじゃのう。」
 

「しかも、辛抱強くチームが出来上がるのを我慢して待ってたのに、監督変えちゃってまた最初からやり直しですよ。」
 

「お、結果が出ないことに文句言ってたのに、それを変えたことにもまた文句言うのか。」
 

「だって、プレシーズンマッチを3試合もやったのに、ひとつとしていい試合がなかったし。というか、どんどん悪くなってる気がするんですよ。それでシーズンが始まるかと思うとまったくもってお先真っ暗です。」
 

「うむ。文句を言うのはまあよい。それもサポーターの権利じゃからの。もっとも、そういう考え方だと確かに元気は出ないじゃろうて。」
 

「と言いますと。」
 

「過去のことを嘆くのはその是非は別としてまだ理解できる。もうすでに起きてしまったことじゃからのう。しかし、まだ起きてもおらんことを嘆くのはどうじゃろう。わしはずっとサポーターのことを見てきたから、そういう気持ちになるのもわからんではない。だいたいにおいてサポーターは悲観的になる傾向にある。

しかし、同時に、これもずっと見てきたからわかるんじゃが、サッカーに関する出来事はたいていおぬしらが思っている通りには行かないもんなのじゃ。それには、思っていたよりいいか、悪いか、のどちらの可能性もあるわけじゃが。

まあ簡単に言うならば、
 

やってみるまでは何が起きるかわからない、
 

そういうことじゃ。」
 

「はあ。」
 

「とは言っても、だから元気を出せとも嘆くなとも言いたいわけではない。前にも言った通り応援するしないがおぬしの勝手であるように、今の状況をどう感じようがそれもおぬしの自由なんじゃから。

ただ、ひとつだけ言っておくが、案外おぬしらの気持ちひとつで結果なんて変わるもんじゃぞ。それだけは忘れないようにしなさい。

では邪魔したな。また会おう。」
 

そう言って、サッカーの神様はチキチキマシン猛レースのハンサムV9に乗って帰っていった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

その後、僕は夢で岩石オープンにひかれそうになって慌てて目を覚ました。

落ち着いてしばらく考えたら、神様の最後の一言が気にかかる。

『僕らの気持ちひとつ』か・・・。
 

サッカーの神様は、確かサッカーのことならなんでもお見通しでなんでも意思通りにできるんじゃなかったっけ。

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