浦和の選手補強について非サッカー的観点から考えてみた 2023
サポ兼税理士の八木橋さんが浦和レッズの財政状態についてわかりやすく解説してくれた動画を見て、自分でもいろいろと考えてみました。あくまで平社員として長いこと働いてきた自分の経験に基づく推定・推測・憶測ではあるのですが、頭を整理するためにとりあえず長く開店休業状態が続いているここに書いてみることにしました。
株式会社浦和レッドダイヤモンズ(以下浦和)の株式は50%以上ダイヤモンドF.C.パートナーズ株式会社が持っています(浦和オフィシャルHPより)。そしてダイヤモンドF.C.パートナーズ株式会社の株式の60%を三菱重工業株式会社(以下重工)が持っています(wikiより)。ここまでは客観的事実で、以降は推測です。
浦和は資本金、財政規模とも億単位の会社ですし、社長も重工出身である点から考えると、浦和は重工の支配下にある子(孫)会社認定されていると思われます。決算上も浦和は重工の連結対象、すなわち重工のグループ決算に含まれることになります。
つまりどういうことかというと、浦和はいろんなことをするのに重工の了解が必要になる、ということです。
今季開幕前浦和はクマだかキスだかなんとかいう外国人選手の獲得に失敗したと言われています。ネットではその時に用意した億単位の資金が残っているのではという意見が散見されますが、たぶんこれは半分しか当たっていないとワタシは思います。
そもそも億単位もの資金はどうやって調達されると思いますか。
サッカークラブでは国内では最大の売上規模を持つ浦和ですが、もちろん相応の出費もあるわけですから、埼スタの金庫に億単位のお金を常備しておくことは至難の業です。ですので、どこかからお金を借りる必要があります。
昔は会社ごとに金融機関と交渉して資金を借り入れるのが普通でしたが、2000年から連結決算の開示が実質義務付けられて以降は、親会社がグループ全体の資金調達を担うというパターンがポピュラーになりました。同じことをそれぞれバラバラにやるんでは無駄が多いですからね。日本を代表する大企業である重工のグループでもそういう仕組みになっていると考えるのが自然です。ですので、浦和の資金は、重工が調達したグループ資金から浦和が借りている可能性が高いと思われます。
で最初に戻ると、外国人選手を獲得するのに必要な資金がもし使われなかったとしても、それは浦和が重工から借りるお金が少なくなったというだけです。実際に使わなかったお金が残ったのは間違いないとは思いますが(当たっている半分)、それは「浦和の資金」ではなく「重工のグループ資金」です(もう一方の半分)。浦和が「その金まだ使うんでキープしといてね」とでも言わない限り、重工グループ内で他の用途に使われると思います。
それから、選手の獲得についても重工の影響が及ぶと思われる点について。
上で、「いろんなことをするのに重工の了解が必要になる」と書きましたが、それにはもちろん金額の大小、予算の有無が影響するでしょう。例えばハートフルで出す弁当の注文までをいちいち重工に了解を取っていては中の人が何人いても足りないからです。
ですので、選手獲得についても予算が決められていて(通常年度で設定)、その範囲内であればある程度浦和が自主的に判断可能なのではと思われます。そう考えると、昨年から今年の選手獲得の動きについてなんとなく説明がつくような気がします。
ユンカー、ショレ、モーベルグ、マリウスについては、報道されてから加入決定までほとんど時間がかからなかった印象です。予算(もちろん能力もね)を勘案して予めリストアップした選手とすんなり契約できた、と。
それに対し、先述のクマなんとかを始めとする昨季~開幕にかけて噂に現れては消えていった数多のFWたちや今季途中に噂に上がったスコチル(スコルジャ・チルドレン)のMF、彼らの獲得について最初に噂が出たあとは、いずれも他クラブと競合していると報道されいつまで経っても決まらず結局立ち消えになりましたよね。しかもうち一人はその後広島に加入するという結末になりました。
他クラブとの競合=必要な資金(移籍金等)が増えるということであり、そこそこ実績のある外国人選手の場合それが億単位に及ぶことも多いでしょう。競合に勝ち抜くためには金銭的な争いをせねばなりませんが、予算を超える場合、あるいはたとえ超えなくても億単位で出費が増える場合は、重工の了解(いわゆる決裁ですね)が必要になるのではないでしょうか。決裁者が増えれば増えるほど時間がかかるのが(日本企業の)常。期限が決まっていてスピード感が求められる契約事を世界と争う場合の勝率は低いと言わざるを得ません。
今季途中で加入した選手は、中島(前クラブ契約解除)、安部(同)、宮本(レンタルバック)、エカニット(提携先)と全員加入時に大金がかからないと思われる選手ばかり。カンテも前所属破綻のためいわゆるゼロ円加入だと報道されていますし、昨季になりますがリンセンも元所属が提携先なので競合する可能性は低かったのではないかと思われます。
ついでに言うと、西野TDが「獲らないと決めているわけではない」と公言しているにも関わらず欧州系ばかりでブラジル人選手がまったくいないのは、彼の国の選手と契約を結ぶにはお金の面でいろいろややこしいという噂を聞いたことがありますが、それと関係しているのではないかと想像します。
要するに、選手の補強には浦和単独では解決できない制約があってそう簡単には行かないみたいだ、ワタシはそう思いました。
ということは補強が貧弱なのはFB本部の責任じゃないと言いたいのか、そう思われるかもしれませんがそうじゃありません。過酷日程といえる今季のシーズン途中で実質的な戦力アップがまったく実現できなかったFB本部の責任は重い(結果責任)、そう考えています。世の中には制約のない仕事なんてないわけで、その中で最大限の結果を出してこそプロフェッショナルだと思うからです。
ただ、それがすべてFB本部の失策が原因なのかどうかはわからない(遂行責任)、そうも推測しています。
FB本部が重工に忖度し最初から高額のオファーを出さなかった
FB本部は獲る気満々だったが、会社として(=浦和経営陣)何らかの理由でNGにした
FB本部、会社ともに獲る気満々で重工に上申したが、認められなかった
(または何らかの条件が付いた)
FB本部、会社ともに獲る気満々で重工にも承認されたが、交渉がうまく行かなかった
さまざまなパターンが考えられ、最初のヤツ以外はFB本部だけの問題じゃない気がするのです。
一番気がかりなのは、万が一3番めのパターンだったとして、その理由に「サポが起こした不祥事」が含まれていたら、ということです。
企業がプロスポーツクラブを所有する理由は、「スポーツ文化へ貢献することによる企業イメージの向上、知名度のアップ、ひいては業績の向上につなげる」みたいな感じだと思います。実際、神戸のサポならばなるべく楽天で買い物しようとするでしょうし、鹿サポはメルカリを利用するし、ズッ友サポは電化製品を購入する時パナソニックを候補にするでしょうから、業績の向上に直結する面が間違いなくあるんだろうなと想像はできます。
しかし浦和の場合、サポが原子力プラントや戦車やロケットを買うことは限りなく不可能に近いですから、重工にとって浦和の価値とは「スポーツ文化へ貢献することによる企業イメージの向上」への比重が他クラブのケースに比べてより高いと考えられます。そんな状況で「企業イメージの向上」をぶち壊すような出来事が起こったらどうでしょうか。決裁者がサッカーに理解のある人だとは限りませんし、こればっかりはいくらこちら側の理屈を並び立てても世間一般の評判を優先せざるを得ないでしょう。「サポが起こした不祥事が原因で補強ができなかった」、そう言われたらサポにはぐうの音も出ません。
兆単位の財政規模がある重工がそんなこと気にするわけがない、そういう見方もあるでしょうが、それこそが「こちら側の理屈」です。
いろいろと考察してきましたがとりあえず理屈や御託を並べるのはここまでで、結局のところ我々サポには何が真相なのかは絶対にわかりません。
わからないからこそ、クラブを批判したり、批判するだけでは何も変わらないと反論したり、サポの間ではいろんな意見が飛び交っていますが、個人的には、サポは結局憶測するしかないからこそいろんな意見があって当たり前だ、そう思っています。なので↑で書いたこともそのうちのひとつだと流していただければと。
今シーズンの終盤を迎えてワタシの頭の中に漠然と浮かんでいるのは、誰かさんが言い始めた「浦和を背負う責任」。
開幕から主力を張ってきた選手たちは明らかに疲労困憊で怪我人続出、酒井キャプテンに至っては背負い過ぎた無理がたたり長期離脱。そんな状況下でもネガティブな発言ひとつせず1試合1試合目の前のゲームに真摯に向き合う監督およびコーチングスタッフ。
今季は、背負う責任を彼らに押し付け過ぎたような気がしています。
クラブが「うまく背負えなかった」のか「そもそも背負うつもりがなかった」のかはわかりません。サポは、例の件があったので「背負うつもりだったけど背負い方を間違えて大炎上」でしょうか。
でも、We are Redsを謳う以上、「浦和を背負う責任」もやっぱりWeである全員が、チーム、クラブ、サポ、その他関係者の全浦和が果たさなければなりませんよね。
だからみんなで頑張ろうよ。来季こそチーム・スコルジャにシャーレを掲げさせたいと思ってるけど、ここへ来ての退任報道。果たしてどうなるのかな・・・。
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