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2022年5月 8日 (日)

大倉川農地防災ダム

いろんな意味でブログを書く余裕がなくて放置プレイ状態だったが、新年以来の記事を書いてうpすることにした。とは言いつつ実際にダムを見に行ったのは去年の12月なのであった。
 

富士山の麓は大変複雑な地形になっている。ただ、そこには大きな河川はない。「富士川」と名付けられた一級河川は富士東麓の山脈を隔てた谷を流れており、決して麓に位置してはいない。いくつかの有名な湖が存在するものの、それはすべて溶岩台地の窪みに水が貯まった自然湖であり、ダムとか人造湖の存在が稀な日本では比較的レアなエリアである。

そんな富士の麓にあるほぼ唯一のダム(小規模な溜池以外という意)が大倉川農地防災ダムである。堤高45m、堤頂長152mと中の小くらいの規模のロックフィルダムで、その名の通り目的が限定されている。それも発電用みたいなエネルギー政策の一翼を担う派手な役割ではなく、治水専用というどちらかといえば(重要だが)地味な目的を担っている。

ただ、周りは火山灰台地で洪水を起こすような地形には見えないし、実際に現地へ行って見てみても、堤体の上流側にはほとんど水が貯められていないため、何となく違和感が残る。その理由は、このダムが備える洪水とは東の山脈を越えたところにある富士川の支流の芝川の洪水だからなのである。芝川が増水して溢れそうになった時だけバイパスの水路を通してこのダム湖に溜められる。以前記事にした山形の前川ダムと同じパターンだ。
 

あと、このダムは日本一富士山が近くに見えるダムだと思う。富士山周辺には観光地がたくさんあることもあって、このダムの知名度は非常に低い。風景的にも地味でダム趣味界隈でも影の薄い存在である。ただ、富士山からの近さという観点からは日本一のダムだと思う。もしかしたらもっと遠くても富士が美しく見えるダムがあるかもしれないからあえて『日本一美しく見える』とは書かないが。

私が行った時は幸いなことに雲一つない快晴で、右岸からは堤体と富士が同時に見えた。この大きさの富士山が堤体といっしょに見えるダムはここが唯一かもしれない。

あと、左岸は台地上から一段下がった場所、右岸は山がすぐそばまで迫っていて、人家からさほど離れていないのに堤体からは人工物がほとんど見えない。独特なロケーションに位置している。これも富士山麓の火山灰台地の複雑な地形ゆえだろう。真冬の割には穏やかな暖かい日だったため、天端上に椅子を置いて本を読んでいる人がいた。

こういう個性的なダムだが、ダムカードが発行されている。管理事務所でも配布しているが平日の午前中のみという限られた時間なので、実質ダムから数キロ離れた場所にある「富士ミルクランド」という観光施設がメインの配布場所となっている。
 

ということで車載動画。今回はダムが出発点。

 

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