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2021年10月20日 (水)

南相木ダム

ひさびさのダム見物記である。実は前回の緊急事態宣言前に行ってたのだが、車載動画の撮影に失敗し傷心のままどこにも出していなかったのだった。
   

ということで、南相木ダムは長野県南相木村にある東京電力の発電専用ダムである。読みは「みなみあいき」、南相木村にあるからというだけでなく南相木川に造られたことにも因んでいると思われる。

東京電力は、人跡稀な山奥にデカいロックフィルダムを密かに隠しているイメージがある。グンマーの玉原、栃木の栗山、山梨の上日川と全部堤高90m級のロックフィルで、すべて人里からは離れた場所にある。ロケーション的には南相木ダムも同じく谷の最奥部にあるロックフィルとこれらのダム群と同じだが、違うのは堤高136m、堤頂長444mとひときわ大きい点。ワタシ的基準をも超える巨大ダムである。
 

この辺りで一番人が集まっているのは中部横断道やJR小海線が走る千曲川の谷だが、そこから南相木川の谷を東へ遡ること25km、ほぼ谷のどん詰まりに南相木ダムはある。その道のりを経て山の間から堤体が姿を現すさまは距離的にも風景的にも少し驚く。そういう感じだから撮影失敗は痛恨の極み・・・。

Photo_20211020183901

ロックフィルダムはコンクリートダムほどかたち的にバラエティには富まないが、主に堤体表面には様々な表情があると思う。特に色については、使われた材料や積み方によって見え方は様々だ。ワタシが今まで見た中でも、茶色いダム、黒いダム、緑のダム、グレーのダムといろいろなロックフィルダムがあった。が、南相木ダムは今まで見たことがなかった『白いダム』なのだ。

白い巨大な壁が山の中に突然現れたら誰だって驚くと思う。当然ワタシは事前にそういう情報を知ったうえで現地へ行ったのだが、それでも驚いたのだから。白い理由は、使われている石材が石灰石だからだそうだ。竣工は2005年なので16年経っててこの色なのだから、出来た当時はもっと白かったことだろう。

比較的新しいダムらしくダム下は公園になっていて、堤体下部の一番際まで立ち入ることができる。そこまで行って見上げると堤体の巨大さをあらためて実感する。この近さで体感できる巨大ダムは奈良俣ダムとここくらいである。ダム下から堤頂までは130mもの高低差があるため、ダム下から天端脇の駐車場までも結構距離があってちょっとした峠道を登る感じである。

天端には駐車場とトイレくらいしかないが、眺望がとても良い。
 

スペック的な特徴があと2つ。ひとつめは堤頂の標高が1532mと日本で最も高い場所に(堤頂が)あるダムであること。

もうひとつ、発電専用ダムといいながら近辺には発電施設が皆無だが、これはこのダムが揚水発電の上池を担っているからだ。さらに、揚水発電といいながら近辺に下池が見当たらないのは、下池が同じ南相木川の水系にないからである。水系どころか県まで違うグンマーの上野ダムが下池となっている。上池、下池とも堤高120m超え(上野ダムは120mちょうど)は日本で唯一で、揚水発電システムとしては日本最大、世界でも有数の規模ということらしい。

2021年6月見物。

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