有間ダム
埼玉県は実質4~5つくらいに分かれていると思う。
どういう意味かというと、東京都心を起点とするいくつかの鉄道路線が県内を縦断しており、人の動きは主にその路線に沿って行われるからだ。東から、つくばエクスプレス、東武伊勢崎線、JR宇都宮線(東北本線)、JR高崎線、東武東上線、西武池袋線。このうち大宮で合流するJRの2線以外は県内で直接接続していない。よってそれぞれの沿線の間での人の動きはあまり盛んではなく、たまに行っても隣の沿線まで、2つ離れている路線の沿線にはめったに行かないという人が県民の過半数を占めている(ワタシ脳内調べ)。
春日部(東武伊勢崎線)の人は川越(東武東上線)のことはあまり知らないし、三郷(つくばエクスプレス)の人は所沢(西武池袋線)へはあまり行ったことがない(ワタシ脳内調べその2)。
実際JR高崎線沿線住民であるワタシにとって、西武池袋線沿線の飯能という街はあまり馴染みのない場所だ。ダムでもない限りそんなに行く機会はない。でも飯能市には有間ダムというロックフィルダムがあるので何度か行ったことがあるのだった。長い前振り乙。
というわけで有間ダムであるが、前述の通り形式はロックフィルでこれは埼玉県内唯一となっている。農業用のアースダムはたくさんあるのだがロックフィルはここだけだ。
そして管理者は埼玉県。埼玉県秩父地方には浦山や滝沢の高さ100m超えブラザーズや同95mの二瀬があるのだがいずれも国や公団の管理で、県営ダムとしては堤高83.5m、堤頂長260mのここが最大となっている。
外見上の特徴は、堤体下流側が途中で踊り場様の段差を設けた2段構造(とまで言えるのかはわからないけれど)になっていること、そしてその段差の上と下でリップラップ(表面)の様相が異なることである。上半分は積み上げた岩がむき出しのワイルドな見た目だが、下半分は草に覆われたアースダムのようになっている。ワタシが今まで見たロックフィルは全体が岩か全体が草のどっちかだったので新鮮に感じた。ダムサイトにあったダムの解説板に依れば、下半分は岩のリップラップの上に土を被せてあるらしい。
以前夏にここを訪問した時、岩の間に疎らに生える草の緑を見てなんだかイマイチな外見だなと感じたのだが、今回冬に訪問してみると草がすべて枯れて色的な違和感が消えなかなか悪くない。
また、このダムの最大の特徴は洪水吐にある。これを見ずして有間ダムを見たと言うなかれ的なことがあちこちのダム愛好家のサイトに書いたあったので右岸の堤体から少し上流側にあるその場所まで見に行った。
名前を書くと「自然越流式トンネル式洪水吐」。簡単に言うと、下流へ流す水路を堤体上に作れなかったのでトンネルにして、かつ機械で開け閉めするんじゃなくて溢れた分だけ流す水門ということだ。ダム湖の表面にぽっかりと穴が空いたように見えることから『ダム穴』と称されている。
実はこのダムには過去2回ほど来ていたのだが、2分割リップラップもダム穴も3回目の訪問にして初めて気づいたのだった。よく観光地なんかで季節によって印象が変わるというのはよくある話だが、ダムの場合もまったく同じであった。
で、飯能の街からダムまでの車載動画。
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