2019年3月17日 (日)

埼玉への帰り道

高山ダムを出たのが午後4時前。そこから県(険)道、国道を走り継いで五月橋インターで非名阪酷道R25から名阪国道R25に入る。そのまま東進して亀山インターから東名阪へ。渋滞の頻発地点である鈴鹿・四日市間もスムーズに過ぎ午後5時30分御在所サービスエリアへ入る。

混む前に早めの夕食。四日市名物なるトンテキ定食を食す。うめえ。来るときも下り線で食ったのだが結構癖になる味かも。

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御在所を出て伊勢湾岸道へ。名港西・中央・東の各大橋のうち、上り下りがそれぞれ単独の橋梁になっているために一番狭い西大橋が嫌いだ。狭さというか、高所恐怖症的には高くて狭いのが嫌なのだが。でも最初のころに比べればかなり平気になった。オートクルーズを90km/hあたりにセットし淡々と左側車線を流す。アルミテープを施してから何となく空気抵抗が減った気がする。
 

豊田東ジャンクションから新東名に。アップダウンやトンネルが増える。

岡崎東インターを通過。ここからは羽布ダムへ行ける。浜松いなさジャンクションを通過。ここからは三遠南信道経由で新豊根ダムに行ける。浜松浜北インターを通過。ここからは船明ダム、秋葉ダム、水窪ダムに行ける。佐久間ダムへは浜松いなさJCT、浜松浜北ICのどっちから行くか悩むところ。

森掛川インターを通過。ここからは太田川ダムへ行ける。島田金谷インターを通過。ここは大井川を跨ぐ。長島ダム、井川ダム、畑薙第一第二ダムといった大物の最寄り。そういえば静岡県のダムは昔見た井川ダム以外ひとつも見ていない。ほぼ未踏の地、近くて遠かった静岡のダム。
 

御殿場ジャンクションで東名に合流し静岡県から神奈川県へ入ったところの鮎沢パーキングで時間調整のため大休止。ETCの特典で深夜割引制度というのがあるが、この割引対象時間帯が午前0時~4時となっている。このまま進むとインターからの退出が0時前になってしまうのが確実なのでここで時間稼ぎをする。あんまり直前(距離的にも時間的にも)でやると混みそうだしね。あんぱんとコーヒーで腹を落ち着かせてからゆっくりと出発。

三保ダム最寄りの大井松田インターの先でなんと工事渋滞2km。いくら遅い時間とはいえ3車線中2車線閉めたらそりゃ渋滞するだろうよ。ひでえ。海老名ジャンクションから圏央道、正式名称首都圏中央連絡自動車道へ。ナビの音声案内はいつも正式名称でアナウンスするんで一瞬どこだかわからなくなる。そこからは特に渋滞もなく時間調整もうまく行き、なんと午前0時01分に高速から退出できた。

0時30分頃無事帰宅。最近は埼玉に帰るとほっとするようになってしまった。すっかり埼玉人である。

さて次はどこへ行こう。

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2019年3月14日 (木)

高山ダム

高山ダムは京都府南山城村(京都府唯一の村だそうな)にある重力式アーチダムである。この日見た木津川戦隊ゴレンダム最後の砦だ。なんだかんだ言いながら結局見た順番に5基連続で書いてしまった。
 

重力式アーチは日本では珍しい形式だが、ワタシのお気に入りの湯田ダムがこの形式であることもあって個人的には気になる形式だ。よって高山ダムの見物を非常に楽しみにしていたのだが、期待にたがわず、というか、期待以上に個性的なダムであった。

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『どこにも似ていない』、湯田ダムの時に使った表現だが、このダムにもその形容がまんま当てはまる。天端が描く曲線は間違いなくアーチだが、堤体ど真ん中にずらりと並んだゲートをはじめとする下流面のごつい造形は普通のアーチ式では絶対に考えられない。重力式アーチでしか見られない外見だが、典型的な重力式アーチの姿かと問われればそれも違うような気がする。ワタシが今まで見たことのある重力式アーチ3基(湯田、七色、二瀬)のどれともまったく違う。とにかく『すっきり』というフレーズとは対極にある無骨な造形である。

ワタシは布目ダムからここへ向かった関係で左岸上流から堤体にアプローチしたのだが、まずは天端のアーチが見え、横から前に回るにつれて予想とは違う景色がだんだんと姿を現す。なかなか趣深いドラマチックな現れ方だ。個人的には下流からアプローチして徐々に堤体が見えてくるのが好みではあるのだが、殊このダムに限っては上流からで正解だと思った。
   

天端は車道になっているが幅が狭く普通車同士の離合は難しい。しかも当然アーチ状に曲がっているため対向車が来ているかどうかの確認もしづらい。そのせいか下流側の防護壁がアクリル様の物でできているのだが、完全な透明ではなく摺りガラス状になっているため、少なくとも昼間はあまり意味がないように思う。

左岸沿いには県道(r82)が走っているが右岸に沿った道はなく、天端を通る道は左岸から右岸へ渡った後ぐるりと右にカーブを切りつつ坂を上る。坂を登り切った右岸の一段上の場所は公園として整備されており、その一角にダム管理所がある。ダムカードをもらうときに、室生ダムで教わった通りこれでゴレンダム(とは言わなかったけど)コンプリートだと申告したら、通常カードとは別にシリアルナンバー入りの色付き(赤)カードをいただけた。しかも写真は建設中のものだ。『どちらから』と聞かれたのでこれから埼玉まで帰ると答えたら『お気をつけて』。おかげさまで気分よく帰れそうです。
 

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管理所の傍からは天端を上から見渡せる。天端のアーチのカーブと下流面の傾斜が一度に見られる特徴的な眺めである。そこからこのダムをじっくり見ていると、だんだん自分の目がおかしくなったような気がしてきた。予期せぬというか、意表を突いたというか、とにかく脳内ダム画像データベースに同じような形が存在しないのでアタマが混乱してきたらしい。大きいんだかそうでもないんだかイマイチよくわからなくなってきたし何となく全体が歪んでいるような感覚だ。今まで見た重力式アーチ3基は上から見られなかったもんなあ。

さあ埼玉へ帰ろう。どこのインターが一番近いだろうか。

2019年2月見物。

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2019年3月10日 (日)

布目ダム

布目ダムは奈良県奈良市にある重力式ダムで、やはりゴレンダムの一員である。

ワタシにはゴレンダムの中では一番大きいように見えたのだが、堤高72mと青蓮寺よりも低いし、堤長は322mで比奈知より短い。周りに人家がなく、相対的に大きさを比較できる対象物がないせいかもしれない。谷は広く堤体の面積的な広さが目立つ。天端の端から見ると対岸が遠い。また、天端が途中で曲がっていたり、右岸側にロックフィル風の施工がされていたりと見た目上の特徴も多いダムである。

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しかしワタシは、これらの特徴をゆっくり観察することはできなかった。何故なら冷たい雨に晒されあちこち歩き回ることができなかったからである。室生ダムを出発した時点では曇りだったが雨の降る様子などまったくなかったのに、北へ向かうにつれどんどん空が暗くなっていき、布目ダムのダム湖の端あたり(上流から向かったため)で雨が降り出して、ダムサイトに着くころにはもうザーザー降り。車から降りてダムカードをもらいに管理所まで行っただけで、傘をさしてたのにビショビショになってしまった。天気予報では『曇り、山間部では雨』だったのだが、確かに今までの3ダムよりも山奥感、山間部感は強かった。天気予報は当たったがワタシにとっては全然良くない。

左岸天端レベルにある管理所から下流の道路を大回りして右岸中腹へ移動する。そこには公園として整備されているエリアがあってそこから堤体下流面が見える。堤体のほぼ全景が見え絶好の撮影スポットである。しかし、雨の公園ほど悲しいものはない。なまじ芝生なんぞが敷き詰められているもんだから足元はグジャグジャ。カメラ(というかスマホ)を濡らさないようにすると身体が傘からはみ出る。それでも何とか写真を撮って車へ戻るとフロアマットが泥だらけになった。
 

そんな散々な見物状況ではあったが、右岸のロックフィル風部分も何とか見ることができた。ロックフィル風と書いたが、見た目的には重力式の堤体とつながっているのでロックフィルと重力式の複合ダムに見える。しかし、詳しいことはよくわからないが、正式にはロックフィル部分は堤体ではないため複合式にはならないそうで、複合『風』ダムなのであった。

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それ以外の外見は、自由越流式のゲートが天端の幅いっぱい並ぶオーソドックスな平成スタイルである(竣工は1991年)。

なお、雨の平日だった関係かダムの周辺には工事業者以外人気(ひとけ)がなかったけれど、休日ともなれば公園には人がたくさん来るそうである。そういえば柳生の郷や月ケ瀬梅林等有名観光地からも近いし、天気さえ良ければファミリーがのんびりするには絶好のスポットではある。
 

雨の布目ダムを後にしゴレンダム最後の1基を訪ねて北へ向かう。5km走って少し下ったら雨はほとんど止んでしまった。本当にこの日の天気予報は正確だった。

2019年2月見物。

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2019年3月 7日 (木)

室生ダム

室生ダムは奈良県宇陀市(旧室生村)にある重力式ダムで、水資源機能ゴレンダムの一員である。室生といえば何といっても室生寺の知名度がダントツだと思う。女人高野の異名を持ち国宝、重文を多数抱える超有名な寺だ。その室生寺がある室生にあるダムで間違いない。念のため書いておくが読みはMURO-O、正式なかな表記が『むろお』なのか『むろう』なのかはよくわからない(ダムは『むろう』だとダム便覧に書いてあったが)。
 

ここも比奈知、青蓮寺と同じく丘陵地帯の谷口を堰き止めており、山奥というより里の近くにある。同じ重力式ながら、年代の違いもあって比奈知とはまったく違う見た目になっており、ゴレンダムの中では最もオーソドックスなデザインである。1973年竣工の少し古い重力式ダムらしい機械式ゲートが目立つ重厚なスタイルだ。ゲートの色は赤。とてもよく目立つ。

ワタシは青蓮寺を見た後に国道(R165)でここへ向かった。R165から標識の通りに向かうと1km足らずで左岸の管理事務所と駐車場のあるダムサイトに出る。天端はそれと同じレベルにあり、比奈知はもちろん青蓮寺よりも狭く普通車1台分の幅しかないが一応一般車の通行は可能である。

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右岸の道路も狭いがダム下流正面に回り込みながら下っており、下流面の写真がいい具合に撮れそうだと思いきや、道路の谷側には木が生い茂っておりそれが邪魔でイマイチなのしか撮れなかった。他の方のブログを見る限り、もう少し先に行ったところに堤体全体が捉えられるポイントがあったようなのだが、残念ながらワタシのチェックが甘かったようである(またかよ)。歩いてったのが敗因かな。
 

ワタシは土曜の午後2時過ぎに行ったのだが、たまたま(当番の?)職員の方が巡視に回っていてダムカードをもらうためには少し待たなければならなかった。こっちは所詮道楽なので業務遂行中の先方のご都合に合わせるのは当然である。しばらく待った後にダムカードをいただく際、2度(周)目以降は色違いのカードがもらえること、ゴレンダムのカードコンプリートで何か特典があること(ちゃんと聞いてねーし)等を教えていただいた。水資源機構のダムが5か所近くにまとまってあることで一体となって広報活動ができるんだねえ。ナイスチームワーク。
 

室生寺はR165や近鉄大阪線から結構離れた山中にあり、このダムからも7kmほどある。このへんを観光で訪れる人のほぼ全員がそっちに向かうのであろうが、その途中にこういう渋いダムがあることもたまには思い出してほしい(たぶん無理)。

2019年2月見物。

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2019年3月 3日 (日)

青蓮寺ダム

青蓮寺ダムは三重県名張市にあるアーチダムである。読みはしょうれんじ。比奈知ダムの記事で書いたゴレンダムのひとつである。このあたりの街道の沿線には長谷寺、室生寺、青蓮寺と由緒ある寺が並ぶ、と書くと信じる人がいるかもしれないが、言うまでもなく寺、寺、ダム、である。でも、長谷寺の近くには初瀬(はせ)ダムが、室生寺の近くには室生ダムがそれぞれ実在するのでダムが並ぶ地帯なのは本当だ。

堤高82mと結構な規模のダムだが、ロケーションは少し変わっていていわゆるニュータウンのすぐそばにある。名張市は近鉄大阪線を介して大阪中心部への通勤が可能なため、ベットタウンとして発展している。ただ、ひと昔前から開発が始まっているためか、宅地造成地と既存の未開発地との対比が明確で、広い道が縦横に走る造成地のすぐ裏に雑木林に囲まれた薄暗い険道がひっそりと残っていたりする。

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青蓮寺ダムはそんなニュータウンのひとつであるつつじが丘という造成地からすぐのところにある。山を切り拓いて出来た造成地ゆえ川沿いへは少し下りることになるのだが、その坂道の途中からどーんとダムの正面が見えてくる。

アーチの割に両岸はあまり切り立っておらずそれほど高くもないので、下流側正面から見るとアーチダムの優美さばかりが際立っていると思う。ありきたりな言い回しだが鳥が翼を広げて飛び立とうとしているようである。いつものプアな表現で大変申し訳ないがすげーカッコいい。堤体の付帯設備は多からず少なからず配置にもバランスが取れていて、個人的にはアーチダムの理想形だなあと感じた。名前もなかなか渋いし。こういうカッコいいダムがすぐ近くにあるつつじが丘の住民が羨ましい。
 

これだけ人の生活に近いところにあるため、ダム湖である青蓮寺湖は釣りやレジャーの拠点になっている。湖畔にはリゾートホテルが建ち周回の道路は人々のマラソンコースになっているようだ。ワタシが行った時にも翌週末に行われるマラソン大会のためのトレーニングらしき市民ランナーがたくさん走っていた。

そんな立地のため交通量は多く天端上の道路を通る車も多い。ただ長さ275mある天端は狭く基本的には1車線で離合が難しいので(1か所だけ待避所あり)、通る車はすべて一旦停車して対向車を確認したうえゆっくりと進入していた。ちなみに右岸のつつじが丘側から対岸へ渡った左岸側の近くにも百合が丘というニュータウンがある。
 

このダムへの通常のアプローチは名張市街地を東西に貫く幹線国道(R165)から青蓮寺川沿いの県道(r81)を3kmほど遡る。が、ワタシの場合比奈知ダムからここへ向かったため、R165を通らずつつじが丘を貫くことになった。比奈知ダムは名張市街地の南東、このダムは南西にあって、直線距離だとわずか2~3kmしか離れていない。曲がる箇所を間違えると前述の険道に迷い込んでしまう可能性があるので、ワタシと同じルートをとる場合はナビに頼った方がよい。

2019年2月見物。

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2019年2月28日 (木)

比奈知ダム

比奈知ダムは三重県名張市にある水資源機構の多目的ダムである。水資源機構は木津川水系に5つのダムを持っていて、木津川戦隊ゴレンダムと称されている。準えとしてはワタシの年代よりちょっと若いかな。ワタシは仮面ライダー世代なので(どうでもいい)。なお、読みは字のまんまひなち。

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このダムは、ゴレンダムの中では最も新しいダム(1998年竣工)で、いろいろなところにその特徴が表れている。

形式は比較的ポピュラーな重力式。それも最近のダムでよく見られる機械式のゲートがないタイプだ。ただそのデザインは結構凝っていて、天端には等間隔で柱が並びそのうちの中央の2本がぶっとい。柱の角はすべて丸みを帯びており力強くも柔らかなデザインになっている。イメージはなんとなく象さんである。

下流側の放流ゲートは3か所だが、上流側は天端全体に口があって放水は天端下の水路を伝って下流のゲートにまとめられる(見逃してるけど)。

天端は広く一般車も通行可能な2車線道路で、右岸やダム下には公園が整備されている。左岸にある管理所も立派だ。特にダム下の園地は広く堤体直下まで芝生が敷かれており、堤体ドアップの写真を撮ったり堤体に直接ベタベタと触れることができる。洪水吐直下の導流壁も間近から見られ迫力いっぱいである。こういう見学者を意識した設備は、開かれたダムを目指す最近のダムの特徴である。残念ながら土曜日にも関わらず見学者はごくわずかだったが。まあ冬だしね。
 

このあたりの地形は、山がちではあるが峡谷とか渓谷ではなく低い山や丘陵地が連なって高低差のある複雑な地形を形成している。なのでこのダムの周辺は山奥というわけではなく丘陵地帯で、低い山と山の間の広い谷を堰き止めている。また、近くには丘陵を切り拓いたいわゆるニュータウンが点在しており、住宅地ともさほど離れていない。ダム下の公園の駐車場で休んでいたら、前の道路を三重交通ののノンステップバスが走っていった。山奥にひっそり佇むダムではなく、人々の生活の隣で街の中に生きるダムだ。

そんなロケーションゆえ、このダムへ行くのは比較的たやすい。ワタシはこのあたりの幹線国道たるR165からR368へ入って数キロ程度南下したが、全線2車線の快走路である。ただR368を南側から辿る場合は少し狭い区間が残る模様。ダム下へはR368のダムサイト入口の少し北側から分岐する。急坂だがバスも通るので離合には問題ない。
 

で、ゴレンダム巡りはここが最初。次はすぐお隣のダムへ向かう。

2019年2月見物。

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2019年2月24日 (日)

小匠ダム

小匠ダムは和歌山県那智勝浦町にある防災専用の重力式ダムである。読みはこだくみ。七川ダムの時に書いたが、どちらかが本州最南端のダムになるはず。Google Mapで見てもほぼ同じくらいの緯度なのでどっちが最南端なのかわからない。

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紀伊半島の先っぽの山奥にあって名古屋からも大阪からも遠く最果て感が半端ない。しかもいろいろと変わった特徴があるため、ダム愛好家の間でもかなりマニアックな存在になっている。わずか堤高35.9mの小さく地味なダムにも関わらずワタシの持っているダムの観光用ガイドブックにも『秘境のダム』として紹介されているほどである。

変わった特徴とは、堤体下部を貫通するトンネルが3つほど(水路2、道路1)空いていて通常時は水を貯めない構造になっていることだ。防災ダムには普段水を貯めないものも珍しくないが、ここまでの大穴が貫通していて常時だばだばと水が流れているうえ道路まで貫通しているのは珍しいのではないかと思う。
 

堤体の上流面を見ることも容易だ。堤体を貫通する林道のトンネルをくぐり上流側に移動するだけで普通のダムでは見られない堤体上流面の全貌を見上げることができる。普通のダムなら貯水池にあたる部分には当然水はないが、洪水調整時には水没するためか木や草が生えない土と岩の茶色っぽい世界になっている。昔来た時にはもっと植生があったような気がしたのだが、2011年の紀伊半島大水害以来何度か洪水調整を行っているため、すっかり荒れたままになってしまっているようだ。なお洪水調整時には貫通穴はすべて鋼製のゲートで閉め切られる。

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普段は無人だが、ダムより一段高い場所に管理所らしき建屋がある。おそらくゲート操作の必要が出そうな場合(=大雨の時)は人がそこに常駐するのだろう。なにしろ紀伊半島は全国でも有数の多雨地帯だ。2011年の大水害でこのダムは完全なる盾になることができず、下流では水が堤防を越える被害を出してしまった。そのことがこのダムの今後に何か影響を与えるのだろうか。もうかなり古いからのう(1959年竣工)。
 

ところで『昔来た時』と書いたが、ワタシはこの秘境ダムに過去何度も訪れている。初めて行ったのは今から50年ほど前の幼少期だ。確か保育所の遠足だったと思う。実はこのブログの前口上の中で書いた『幼いころ遠足で行ったダム』とはこの小匠ダムなのであった。一般のダム愛好家にはとても行き難い非日常たる秘境のダムだが、ワタシにとっては最も日常に近いダムだったのである。

以前撮った写真が見つからず今回あらためて写真を撮りに行ったのだが、相変わらず県道から分かれるダムへの林道は狭い。小型車1台分の幅で離合可能な箇所もわずかである。分岐からダムまでの間には人家はおろか耕作中と思われる田畑の類も皆無なので今後も整備される予定はないだろう。ワタシはR42那智勝浦新宮道路で北から入ったのだが、わずか12km足らずの間で高規格道、2車線の主要地方道、センターラインのない一般県道、離合困難で落石の多い林道と徐々に格落ちしていくのはなかなか味わい深い。酷険道マニアならば歓喜だろう。もう一声ダートも欲しいところだろうが。

その様を動画にまとめてみた。窓の雨粒がすげー邪魔だがご勘弁方。

2019年2月写真撮影。見物多数。

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2019年2月21日 (木)

二津野ダム

二津野ダムは奈良県十津川村にある発電用アーチ式ダムである。

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両岸は切り立った崖になっていていかにもアーチダム適地という感じがする。奈良県南部には電源開発の発電用ダム(ここもそう)を中心に堤高50m超のダムは多いが、熊野川(新宮川)水系はこのダム以外も

風屋 重力式
旭  アーチ
瀬戸 ロックフィル
猿谷 重力式
七色 重力式アーチ
池原 アーチ
坂本 アーチ

となっていて、ひとつ北に山を越えた紀ノ川水系には半端ない大迫ダムがあるなど、アーチダムが多数派を占める割と珍しい地域になっている。日本有数の多雨地帯ながら地盤は意外に固いのだろうか。

ただこのダムを下流側から見ると、アーチによくあるV字状ではなく湾曲した横長の長方形に見える。なんとなく普通のアーチダムの下部1/3を削ったような感じである。これは堤体下流直下にもちょっとした貯水池並みに水が溜まっており、堤体の下の部分を隠しているからだろう。堤高が76mもあるようには見えないのは恐らくそのせいだと思う。堤高は水面からではなく地中から露出している部分からの高さをいう。ぱっと見より実際のほうが長身で脚長なのである。
 

あとこのダムは国道(R168)の沿線にあるのだが、R168は天端よりさらに数十メートル上を走っている。したがい国道からダムサイトへ行くには、崖にへばりつく1車線幅の道をゆるゆると下りていく必要がある。距離は長くないが対向車との離合が難しい道で、ワタシが行ったときは工事の関係で大型ダンプが出入りしていた。

そんな道を下りて着いたダムサイトにはほとんど平地がなく管理所も崖を削って建てられており、駐車スペースも広くはない。R168も遅ればせながら整備が進み現地まで辿り着くのはたやすいが、最後の最後にダムサイトまで下りるルートの難易度は案外高い。

というか、R168自体整備された契機がこのダムの建設だったそうな。確かにこのダムの前後、和歌山県境から十津川村中心部にかけては人跡まれな峡谷地帯なので、当時そういう大事業でもないと整備がされなかったのだろう。卵が先か鶏が先かではないが、ここは明確に道路よりもダムの方が先だったのである。
 

ダムカードは管理事務所では配布しておらず、下流約19kmほど離れたこのダムの発電所(電源開発十津川第二)まで行く必要がある。県境を越えた和歌山県新宮市が所在地になっていて思いのほか遠いので注意。

2019年2月見物。

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2019年2月17日 (日)

君ヶ野ダム

この週末に三重、奈良、京都のダムをいくつか見物してきた。いわゆる大ダムはなかったものの、見物したどれもがとても個性的で存在感があった。例によってひとつずつ小出しにしていこうと思う。

まずは三重県津市(旧美杉村)にある君ヶ野ダムである。

のっけからあまり愉快じゃない話で恐縮だが、ワタシがこのダムの名前を聞いて最初に思い出すのは、テレビや小説で複数回殺人の現場として登場したことだ。被害者はいずれもこのダムから転落しているところを発見されていた。ワタシの脳内では、国内のダムで最も物騒な話の舞台となることが多いダムである。

ここからはワタシの想像だが、きっと君ヶ野というちょっとロマンチックな響きが彼ら(小説家や脚本家)をそうさせるのではないかと思う。実在の場所が舞台になることの多い旅情系ミステリーにはキレイな地名の場所がよく使われるから。きっとキレイな地名で惨劇が起こる方が意外性が増すのだろう。まあそれ自体陳腐といえば陳腐な発想だなあと思うけれども(と、某大御所鉄道推理作家のことをディスってみる)。ちなみに、君ヶ野とは水没地の地名だそうな。
 

それはともかく、なかなかフォトジェニックなダムだと思う。竣工は1971年と結構なベテランだが、そのころのダムらしい重厚感がある。それと、堤体上部の2門の赤いゲート、堤体下部にある操作室らしき四角いブロック、そしてその間にあるへそのような放水バルブ。正面の減勢工に入った3本のスリットも含めほぼ左右対称のデザインになっており、こうなると向かって右側の付き出したエレベーターらしき出っ張りが惜しいっと感じてしまう。

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たとえ秀逸なデザインであってもそれをうまく見れないダムも多い中、このダムは堤体を眺めるアングルにも困らない。下流からの県道(r29)はダムの正面を斜めに見ながらのアプローチになっていて、道路からバッチリ全貌を捉えることができるし、しかもダムの正面でヘアピン状にカーブしているため、ヘアピンの頂点からはかなりの接写で堤体を写すことが可能だ(但し交通量は少なくないので車に注意)。堤高73mながらそれ以上の迫力を感じる。

いわれのないネガティブ情報を気にするでもなく今日も君ヶ野ダムは淡々と佇んでいる(当たり前)。我々ダム愛好家には、もうこれ以上このダムを変な話の舞台にしないでくれと訴える義務があると思う(大げさ)。
 

このダムは上述の通りr29沿いにある。といってもJR名松線沿いに走るr15から伊勢竹原駅の近くで分岐し2kmほどである。伊勢自動車道や近くの幹線国道(R165)からも問題なく行くことができる。なお、ワタシは残念ながら名松線が走っているところを見ることができなかった。かなり確率の低い話ではあると思うが。

2019年2月見物。

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2019年2月 7日 (木)

七ヶ宿ダム

七ヶ宿ダムは宮城県七ヶ宿町にあるロックフィルダムである。読みはしちがしゅく。

前に摺上川ダムの記事で、ここと摺上川、胆沢が東北ロックフィル三兄弟だと書いた。比較的新しい大規模ロックフィルですべて国土交通省のダムだという共通点がある。見た目上の共通点としては、ロックフィル下流側表面、いわゆるリップラップが非常に滑らかに成形されていて、いかにも最新技術を駆使して岩石を精密に敷き詰めました感がハンパないところである。地形に沿ってびっしりと石が敷き詰められているさまはきれいと言って差し支えないと思う。

洪水吐の大きさも共通点だ。ダムの一部として見る分にはさほど感じないが、単体でそこだけを見るとびっくりするくらいの大きさである。幅も高さ(深さ)も複線鉄道をそのまま敷設できそうなほどある。

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また、非常にウェルカムなところも同じだ。展示施設が充実しており見学者を積極的に迎えようという姿勢が感じられる。このダムでは国道(R113)からの入り口にたくさんの見学者向けの案内掲示がされており、ものすごく歓迎されている気分になれる。実際に展示施設にいた女性は大変愛想がよく、いろいろな説明をしてくださった。そしてダム湖からは噴水が80mの高さまで定期的に上がる。目的は水質維持だそうだが、エンタメ的な見所にもなっている。人にたとえると人当たりが良く長身のイケメン3兄弟の長男といったところである。背は弟たちよりちょっと低いが(提高90m)。

しかしワタシが行った時は、春先ながらまだ肌寒くしかも強風(というか暴風に近かった)が吹き荒れており、ダム湖の湖面にはさざ波が立ち、車の外に出ると身の危険すら感じるほどだったので、天端を歩くことも噴水を眺めることもできなかった。雨なら何とかなるが風はどうしようもない。どっかのサッカー選手が言っていたことと同じことを考えてしまった。
 

このダムの下流すぐのところに小原の材木岩という奇岩があってちょっとした観光地になっている。そこから歩いてダム直下の公園へ行くことができるが、ワタシが行った時はがけ崩れの危険ありで通行止めになっていた。通行止めのバリケードにへばりついて提体の写真を撮ったが全体の半分くらいしかフレームにおさまらない。かなり厳重に封鎖されていてすぐに復旧するようには見えなかったので、下流正面からの写真はしばらく撮れないかもしれないなあ。仕方ないので材木岩の写真を撮る(普通は逆)。
 

R113は白石市で大幹線のR4から分岐しているが、南から向かう場合は四角形の三辺を周るかたちで遠回りになるため、ワタシは福島県の国見町から峠越えで直接七ヶ宿町へアプローチする県道(r46)ルートをとった。r46は東北道国見ICから直接つながっていてわかりやすい。峠の福島県側に少し狭い箇所が残るが走行に問題はない。ちなみに、途中で県境を越えるが県道番号は両県とも46で揃えている。県に跨る県道はそういうパターンが多い。

あと、七ヶ宿とはもともと7つの宿場があったことに因む地名だが、このダムができて七ヶ宿町の主要部が水没し住民が町外へ移住したため、人口が大幅に減ったらしい。Wiki先生によると、宮城県で人口が最少の自治体だそうな。ダム湖の傍に道の駅があるが人家はあまりなく寂しい。

2018年4月見物。

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